著者:Uniaxia 代表
① 「焼き物がTikTokで?」——地方のニッチこそSNSが効く、逆説の話
「TikTokって、踊ってる動画を上げるやつですよね?うちには関係ないです」
最初にそう言われました。
相手は九州で何十年も窯を焚いてきた、ベテランの窯業系事業者A社の経営者でした。商品の品質は本物です。一つひとつ手仕事で作られた器は、使うたびに愛着が増す、そういう類のものです。ところが売れない。ECサイトは動いているのに、誰も来ない。
でも私には確信がありました。ニッチで、物語があって、職人技がある商品こそ、SNSで最も強く燃えると。
大手メーカーが参入しない領域。派手な広告予算がなくても戦える場所。それがショート動画の世界です。この記事では、A社がTikTokをきっかけにEC売上を12倍にするまでの道のりを、支援者の視点から具体的にお伝えします。
② Before:技術は本物なのに、誰にも届いていなかった
支援を始める前のA社の状況を、正直に書きます。
ECサイトの月間訪問者数は、ほぼゼロに近い状態でした。
サイト自体はあります。商品ページも整っていました。ただ、誰も来ない。検索しても上位に出てこないし、SNSもほぼ更新していない。「ネットショップを作ったけど全然売れない」という、地方の中小事業者が陥りがちな典型的な状態です。
広告を出せば変わるかもしれない。でも、その余裕がない。月に数万円の広告費を出して、成果が出なかったら?そのリスクを背負えるほど、体力がなかった。
SNSについては「若者のもの」という認識でした。自社の商品を買ってくれるのは40代・50代の女性が中心だという感覚があったので、TikTokやInstagramに投稿しても意味がないと思っていたのです。
でも、この認識は間違っていました。
TikTokの国内ユーザーのうち、35歳以上が全体の4割以上を占めています(2023年時点)。そして購買力が高い層ほど、「本物の職人の仕事」に熱狂します。職人が黙々と土をこね、炎の中で器が焼き上がっていくその映像は、それ自体がコンテンツになりうる。私が最初に感じた手ごたえは、まさにそこでした。
③ 戦略:TikTok・Instagram・YouTube Shortsを使い分けた理由
SNSは「とりあえず投稿する」ではうまくいきません。どのプラットフォームで、何を、誰に届けるかを設計することが先です。
A社では、次の3段階の設計を採用しました。
TikTok——「知ってもらう」ための認知拡大
TikTokの強みは、フォロワーゼロでもバズれることです。アルゴリズムが、面白いと判断した動画を見知らぬ人のタイムラインに次々と届けてくれます。つまり、広告費ゼロで数万人・数十万人にリーチできる可能性がある唯一のプラットフォームです。
A社では、TikTokを「認知の入り口」と位置づけました。まず多くの人に「こんな窯業があるんだ」と知ってもらうことが最初のゴールです。バズを狙うことを最優先にコンテンツを設計しました。
Instagram——「好きになってもらう」ためのファン育成
TikTokで知ってもらった人を、次はInstagramに誘導します。Instagramはフィード投稿・ストーリーズ・Reelsを通じて、より深い世界観を伝えられます。商品の美しさ、職人の人柄、制作の背景——そういった「物語」を積み重ねることで、フォロワーが「ファン」に変わっていきます。
ファンになった人は、商品のリンクをタップします。これがECサイトへの自然な流入導線です。
YouTube Shorts——コンテンツを「資産」として積み上げる
TikTokとInstagramで作った動画は、YouTube Shortsにも横展開します。YouTubeは検索エンジンとしても機能するため、「窯業 職人」「九州 焼き物」といったキーワードで検索した人にも届きます。また、YouTubeに蓄積したコンテンツは長期にわたって検索流入を生み続ける資産になります。
この3プラットフォームの役割分担が、SNS戦略の骨格です。
④ 具体的な施策:何を、どう作ったか
設計ができたら、次は実行です。A社で取り組んだ具体的な施策をお伝えします。
コンテンツの方向性:「作る過程」を見せる
最初に試したのは商品の紹介動画でしたが、反応は薄かったです。転機になったのは、制作過程をそのまま撮影した動画でした。
轆轤(ろくろ)の上で土が形になっていく映像。釉薬(うわぐすり)をかける職人の手元。薪が燃える窯の炎。そういった「普段は見られない裏側」が、驚くほど多くの人の心をつかみました。
「これを作ってる人から買いたい」という気持ちは、動画だからこそ生まれます。写真や文章では届かない、臨場感と信頼感です。
投稿頻度と時間帯の設計
投稿頻度はTikTokとInstagram Reelsを合わせて週4〜5本を目標としました。毎日投稿が理想ですが、コンテンツの質を下げてまで数を増やすことはしません。
時間帯は、ターゲット層(30〜50代女性)が利用しやすい平日の昼休み(12時〜13時)と夜(21時〜22時)を中心に設定しました。週末は午前中の投稿が効果的でした。
バズった投稿の共通点
複数の動画が数万回再生を超えましたが、バズった投稿には共通点がありました。
- 最初の2秒で「え、何これ?」と思わせる画から始まっている
- BGMが映像のリズムと合っている
- 完成品より「途中」の映像の方が再生が止まらない
- テキストは短く、感情に訴える言葉を使っている(「100年続く技術」「一つとして同じ形はない」など)
ECサイトへの導線設計
TikTokのプロフィール欄にECサイトのリンクを設置し、動画の説明文には「プロフィールのリンクから購入できます」と毎回明記しました。Instagramはストーリーズのリンクスタンプと、ショッピング機能を活用してEC商品ページへの直接誘導を設定しました。
「良かった!」と思った瞬間にすぐ買えるような動線を、すべてのプラットフォームで整えました。
⑤ After:12倍になるまでの、リアルな時間軸
成果は一夜にして生まれたわけではありません。時間軸を正直にお伝えします。
開始〜3ヶ月:反応が出始める
最初の1ヶ月は、ほぼ無反応でした。再生数は数十回〜数百回。フォロワーも増えない。「やっぱり意味がないのでは」という声も出始めました。
でも、ここで辞めないことが重要です。アルゴリズムはアカウントの継続性を評価します。続けることで、少しずつ「おすすめ」に乗り始めます。
3ヶ月が経つ頃、一本の動画が突然2万回再生を超えました。轆轤で土を成形する15秒の動画でした。その日のECサイトへのアクセスが、それまでの10倍になりました。
3〜6ヶ月:フォロワーとEC流入が安定して増加
バズ体験を機に投稿への向き合い方が変わりました。「何が刺さるか」を分析しながら、コンテンツの質が上がっていきました。
6ヶ月時点でTikTokフォロワーが3,000人超、InstagramフォロワーはReelsを活用したことで2,000人を突破。ECサイトへの月間流入は、支援開始前の約20倍になっていました。
6ヶ月〜1年:売上が本格的に動き出す
フォロワーがファンに変わるのに、時間がかかります。でも一度ファンになった人は繰り返し購入してくれます。ギフト需要や季節需要とSNSの発信がかみ合い、1年後にはEC月商が支援開始時の12倍を達成しました。
広告費は、ほぼゼロのままです。
⑥ まとめ:地方のニッチ商材こそSNSが効く、3つの理由
この事例から見えてきた、構造的な強みをまとめます。
1. 大手が参入しないブルーオーシャン
大量生産の工業品メーカーは、手仕事の職人仕事を動画コンテンツにすることが構造的にできません。つまり、地方の職人事業者は最初からブルーオーシャンで戦っています。競合が少ない場所でショート動画を続ければ、その領域の「一番手」になれます。
2. 「物語」が売れる時代
現代の消費者は、ただ良いものを買いたいのではなく、誰が、どんな思いで作ったかを知った上で買いたいと思っています。職人の手元、窯の炎、完成品が生まれる瞬間——これらはすべて「物語」です。その物語をショート動画で届けることが、今の時代の最も強力な販売戦略です。
3. 職人の技術が最高のコンテンツになる
特別なカメラも、プロの撮影スキルも、最初は必要ありません。スマートフォン一台で、職人の仕事をそのまま撮る。それだけで「見たことのない映像」になります。地方にいることが弱点ではなく、都会にない「本物感」が最大の武器です。
⑦ あなたのビジネスで、同じことができるか?
まず無料で診断します。
「うちの商品でSNSが効くかどうか、正直わからない」
そう感じている経営者の方へ。A社と同じように、最初はみなさん半信半疑でした。でも、伸びるビジネスには必ず「SNSで届けられる物語」があります。
Uniaxiaでは、現状のビジネスを聞かせていただき、SNS活用の可能性と具体的な打ち手を無料でお伝えする診断を行っています。
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Uniaxia 代表 / 大手企業でデジタルマーケティングに従事
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